最近観たもの

ここずっと、月イチペースでしかこの日記書けてないのですが、もうほんと、いろんなことに疲れ果ててて、楽しくブログとか書けるテンションじゃなくなってしまった。何をしてても虚無感でいっぱいになります。(といういま現在、もうすぐGoToキャンペーンが始まるというところです。しかも前倒しで!)

 

でも映画はいろいろ観てるので記録。

最近は邦画をよく観ました。

とくによかったもの。

 

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 [DVD]

こんな夜更けにバナナかよ

これは良い映画!

大泉洋さんと高畑充希ちゃんの演技がめちゃめちゃ良いんだけど、私は三浦春馬くんがすきです。ある意味振り切ってしまっている二人に比べると、控えめだし、複雑な内面のある難しい役どころだろうなあと思うけど、とても説得力があります。

原作のルポルタージュに書かれている、シカノさんのボランティアにかかわった若者たちの様々な悩みを、うまく一人で背負ってる感じです。映画だと主役の3人にスポットライトを当てている分、ちょっと厚みが足りないのかも。もしかしたらシカノさんの傍若無人ぶりにモヤっとしたり、ボランティアの人たちに、なぜそこまで...と思ってしまったりするかもしれないのですが、原作を読んでいるとより理解が深まります。

でも、とにかくシカノさんとミサキちゃんがキュートな、楽しく心温まる映画でした。

 

デトロイト・メタル・シティ スタンダード・エディション [DVD]

デトロイト・メタルシティ

甘くてオシャレなポップミュージシャンになりたいオトメンが、なぜかヘビメタル界のカリスマとして上り詰めることになる話。

なんじゃこりゃ。へんなの。でもかっわいい!

ヘビメタの世界は全然わかんない私は、昔まんまとカジヒデキが好きなほうでした。懐かしい甘い楽曲の数々♡

自分がやりたいジャンルではまったく認めてもらえないのに、好きじゃない世界で才能を認められ、必要とされている。そんな現実を受け入れて生きていく...って、考えてみると意外と深いテーマですね(^^;

 

勝手にふるえてろ - 作品 - Yahoo!映画

勝手にふるえてろ

松岡茉優ちゃん私はすきです。「万引き家族」のときもすごくいいなあと思った。

かわいい顔なんだけど、地味な(イタイ)感じにも見えるところとか、精神的にあまり安定してなさそうなところとか。で、この映画のヒロインが彼女にぴったり!

可愛いのとイタイのが両立していて、芸術の域だなあと思うなど。綿矢りさの小説のイタさも上手に体現してるとおもった。めっちゃ似合う。あのめんどくささは変わらないと思うけど、幸せになってほしい。

 

日日是好日 通常版 [DVD]

日日是好日

これといったドラマは動かないまま、クラシックっぽい静かな音楽とともに、移り行く季節とかわいい女の子を捉える。なんか佐々木昭一郎の世界と言われても納得できそうな。

私は好きです。樹木希林さんの最後の作品がこれなのも、なんだか流石。なかなか良い終わり方な気がして。

 

★番外編★

Wonder (DVD, English Language Not guaranteed)

ワンダー

絶対泣くとおもったけど最初から最後まで泣いてました。

原作が大好きなだけに、映像を見ながら先のこととかまであれこれ考えてしまって。あととにかく子役に弱いんだ〜。

ここに書いた中では一番よかった映画かもしれないです。

 

最近聴いてるもの

最近はずっとVaundyと岡村ちゃんを聴いてます。

Vaundy... 下手したらギリギリ息子でもおかしくないくらいの若者で、そのことにもびっくりしちゃうんですけど、ものすごい才能の塊ですね...。

いろんな曲があってどれも面白いのですが、やっぱり「東京フラッシュ」がすきで何回も聴いてしまう。

 

 

どオシャレですね...。

「Just the two of us進行」というコードなんだそうです。コードの名前までオシャレで面白い。

 

あとは、周りに話せる人が全然いないのだけど、zocというアイドルグループがとてもごたごたしていて残念な気持ち。

大森靖子つながりでときどき覗くようになったのがzoc。アイドル好きな靖子ちゃんによってプロデュースされたグループで、アイドルにしてはずいぶんガラ悪いなあという印象だったし、遅かれ早かれなにごとか起こるであろう危なげな雰囲気が最初から漂ってたんですけども。

ふだんアイドルになじみのない私にとっては、靖子ちゃんの楽曲を、お人形みたいな女の子たちが入れ代わり立ち代わり歌うのは面白かったし、靖子ちゃんのプロデューサーとしての才能が感じられるのもよかった。

でも、やっぱり靖子ちゃんはひとりでやっていくほうが似合ってるんじゃないかなと感じます。コラボはめっちゃいいのがたくさんあるけど、グループを続けるとなるとなんか難しそうだなっていうかんじ。器用にグループを続けていけるような靖子ちゃんだったら、そもそも好きになってないような気もしますね。靖子ちゃんだから書ける良い曲を聴きたい。それだけ。

ピアノ・レッスン

 

 

アリス・マンローの本を初めて読みました。

素晴らしい小説を読むと、その本について語りたい半面、自分の語彙力ではどんな言葉でも言い表せない虚しさで、言葉を紡ぐ気力すらなくしてしまいますね...。

ノーベル賞まで獲ってて、すでに評価は定まっているけれど、この『ピアノ・レッスン』は最初期の短編集だそうです。

日常の描写のなかから、突然鮮やかに一瞬の光が現れて、その一瞬にはっとさせられたり、すべてがひっくり返るように感じたりする、そんな短編集でした。短編のスピード感があるのに、長編小説みたいな、なんともいえない、深い読後感。

 

ああ、おかしなものだ、頭のなかでは、何かに立ち向かうとき、声は響き渡り、人々はぎょっとして、うろたえる。でも現実の世界では、皆ちょっと独特の笑顔になり、自分が実際にやったのは、つぎのコーヒーパーティーに格好の話の種を提供してしまったということなのだ、とわかる。 ――「輝く家々」

あれがレオーナの御自慢の子供なんだからねえ、と隣人たちは家に帰りながら互いに言い合った。あの歌手のさ、と彼らは言った。今では雰囲気はいつもどおりに戻って、皆、以前とおなじくレオーナのことが嫌いだったからだ。 ――「死んだとき」

 

書かれているのは、ただそこにそのように「ある」人々の生きざまや考え方や人間関係。人間観察の確かさが過ぎて、言葉にならない人間関係のざらつきに、心臓がひえる感じがする。どの登場人物に対しても、語り手の感傷がほとんどなくて、まったく容赦がない。でもだからといって、貧しかったり醜かったり狡さを見せたりする彼らを、軽蔑したり突き放したりするわけでもない。すべては淡々としていて、とてもフェアだなあと思う。

 

いろんな女の子が登場する。

自分の一家(と母親)が近所から疎まれていることを感じていて、幼いながらも威厳を保とうとする「死んだとき」のパトリシア。

田舎に縛られ、すべてをあきらめ受け入れて、投げやりにしか生きることができないけれど、最後には、都会から来た男の子の薄っぺらさが浮き上がってくるような矜持を見せる「乗せてくれてありがとう」のロイス。

一方で、弟よりも父の仕事に役立っていると自負していたはずなのに、結局は少女として成長することを受け入れる「男の子と女の子」の女の子や、自立した先輩に感化された直後に、男の子に誘われるとあっさり誘いに乗ってしまう「赤いワンピース―一九四六年」の女の子もいる。

それに、「輝く家々」や「海岸への旅」、「ピアノ・レッスン」に出てくる老女も、きっと元「女の子」として描かれている。

アリス・マンローは、女の子と、すべての元女の子を描く作家なのだと思う。

 

最後の一編、表題作の「ピアノ・レッスン」は、零落したピアノ教師であるミス・マルサレスについての描き方が哀しくなるくらい冷酷なのだけれど、パーティで起こる奇跡によって、彼女の世界が一気に神聖なものとして昇華されるのがとても見事で、しばらくぼーっとしてしまいました。

娘が教えてもらっていたピアノの先生も、昔こんな感じの発表会をたびたびひらいていて(みんな嫌々来ているとかいう意味ではないです)、音楽はどんな人とでも分け隔てなく楽しむもの、という温かくて厚い信念を私はとても尊敬していたので、なんだかとてもよく知っている世界だと思った。

最後の一文が、本当に本当に素晴らしいです。

 

すっきり爽快とはいかず、読後なんとなくもやもやを引きずるマンローの短編...これから他の作品もたくさん読んでみたくなりました。

 

JUGEMテーマ:読書

こんなときはおうちで映画

気になっていた映画をいくつか観ました。

休校騒ぎをきっかけに、ついについに、amazon primeに入ったので。

 

特によかったいっこめ「フロリダ・プロジェクト」

ポスター画像

ムーニーという、主役のちっちゃな女の子がとにかく可愛い。そして恐るべきふてぶてしさ。まったく演技してるように見えなくて、活き活きといたずらの限りをつくしてる。周りの大人たちは大変だぁ...。

ムーニーを育てるシンママのヘイリーは、ちょっと痛々しすぎて、もちょっと大人になったほうがいいですね...。悪態をついて喚いてるところばかりが思い出されます。でも、世間一般の母親っぽさとはかけ離れているのかもしれないけれど、ムーニーを大切にしていることだけはずっと伝わってきていたから、ふたりで過ごす、貧しくても楽しそうな時間が、あとから思い返すときらきらして見える。

だけどたとえば、偽物や盗んだものを、ディズニーランドの客に売りつける行為とか。大好きなママと一緒にしていたことの本当の意味を、ムーニーが大きくなって知ってしまったら、ムーニーはどうなってしまうんだろう。あの可愛いムーニーも、教育のないまま大きくなった末には、きっと貧困から逃れられず、ヘイリーのような生き方しかできなくなってしまうんだろうと思うと、ちょっとやりきれない。

この映画の監督は、是枝監督の「だれも知らない」を子役の演技の参考にしていたらしくて、それを知ってなんだかとても納得できました。前にも書いたけど、是枝監督のお弟子さんだった西川監督の「永い言い訳」も子役が凄くて、その姿を見るだけで涙が出てきちゃいそうだったのですが、ムーニーや子どもたちを見ていると、なんだかそれに近いものを感じたので。

 

にこめ

「アイ,トーニャ」は、私が子どもの頃にワイドショーでよく騒いでいた、フィギュアスケート選手による、ライバル選手への襲撃事件がテーマの映画。ハーディングとその周辺の人物が事件について語る、という構成なので、ここで語られていることが、本当かどうかはわからないんですが。

トーニャ・ハーディングって、アメリカで初めてトリプルアクセルを跳んだ人だったのは知らなかった。

ワイドショーのおかげで、ハーディング選手の印象はあまりよくなかったけど、これを見ると感情移入してしまってなんだか可哀想になってしまう。トーニャはきっと、母親があの母親でなかったら、もう少し別の生き方ができたであろう、ある意味純粋でハングリーな女の子。ほんと、鬼ママものすごいよ...。ヘイリーとは大違い(どっちも言葉遣いは極悪だけど)。なんだかんだ、やっぱりいいお母さんな面もあるのかな、というシーンがあるのですが、そんなことはなかった。やっぱり徹底的にクズだった...。ていうか、出てくる人がみんなクズすぎて、トーニャがまともに見えてきますね...。

 

それにしても、トーニャ役の女優さんが、スケートがすっごく上手でびっくり。

最初から最後までテンポがよくて、ずーっと勢いのあるまま最後まで突っ走る感じの映画でした。音楽もよかった。

エンドロールのときに、この映画の元になった、実在のドキュメンタリー番組と思われるものの映像がちょっと流れるのですが、本編に出てくる通りのシーンで、出てくる全員がめっちゃくちゃ似ててほんとすごいんです。面白かった!

 

「アイ,トーニャ」の最後に、「アメリカは愛する仲間たちと敵を作りたがる」というフレーズが出てきて。「フロリダ・プロジェクト」も世知辛いし。日本で生きていくことに、たびたび絶望的な気持ちになってしまう今日この頃ですが、アメリカで生きていくのも、なかなか大変そうだな...という気持ちになりました。

そいえば、この頃、ジョン・グリーンの『アラスカを追いかけて』も読んでいたので、アメリカンカルチャーにだいぶ免疫ができてきました!

 

僕らが手にしている富は見えないよ

ムスメのピアノのレッスンが終わり、家までの道を車で走っているとき、いままで何十回・何百回もレッスンに通ってきたのと、まったく何ひとつ変わっていないような錯覚に陥った。

でもすぐに、世界がいまとても深刻な状態にあることや、この国の人々の多くが、国民としてあまり幸せな状態に置かれていないという現実に引き戻される。

毎日毎日絶望感が更新されて、うんざりしている世界に。

 

ムスメとふたりっきりでいつもの車の中にいれば、ふざけながら交わす何気ない会話も、そこから見える風景も、いままでと何も変わってなくて、いままでと同じ平穏な日常の延長なのに。でもそういう日常が、本当はいまはとても遠いところにある感じ。

 

ムスメが適当に選んだウォークマンのプレイリストから「ありあまる富」が流れてきて、この曲もともととても好きなのですが、もうなんだかもう、諸々が現状にぴったりすぎて、泣きそうになってしまった。

 

 

きみの存在を意識する

舞台は中学二年のクラス。
文字を読むのが苦手なひすい。戸籍上は女の子だけど、自分は男でも女でもないと感じている理幹(りき)。書字障害の心桜(こはる)。複雑な生い立ちをもつひすいの「弟」拓真。カーストのてっぺんにいる優等生の小晴と、教室に入れなくなってしまった幼なじみの留美名。どの章の主人公も、それぞれ「ふつう」からはみ出た生き辛さを抱えてる。

どの子も一生懸命で愛しいのですが、特に心桜が印象的。超絶美少女なのに字がうまく書けないせいで、「顔のかわいさだけで人生なんとかなると思ってるバカ」と認定されているけれど、この本に出てくる子のなかでも一二を争う行動力のもちぬしで、外から見える何倍もいろいろなことを考えて、生き抜く術を模索する力強さには感動さえおぼえます。
自分の抱える生き辛さが何なのかという疑問から、それが障害であることを突き止め、その解決のために周りの大人に働きかけて環境を変えていく。自分の問題にとことん向き合う強さをもったすごい子です。そんな心桜に、「顔が超絶かわいい」という設定をもってきた作者には本当に恐れ入ってしまう...。
最後に梅田にのこすメッセージ。これもよくて、これ以上ないほどのむきだしの言葉で、ストレートに読む人の心をうちます。心桜の書いた文字まで目の前に浮かんでくるようです。

それから、穏やかでやさしくていい子だけど、やっぱりそんなふうにはいられるわけがない複雑な内面をもった拓真の手紙。でも、人生においてもしかしたらいちばん大切かもしれないことに気づかせてくれる、良い手紙です。
ひすいの抱える困りごとは、心桜のそれと少し近いのだけど、心桜とは違う道を選ぶ。それもまた自分なりの道。

彼らが、弱さを抱えているがゆえの優しさを持ち寄りあって、ゆるゆるとつながっている感じが良かった。抱えていることはみんなそれぞれに違い、完全にわかり合うことなんてできないんだけれど、自分の弱さを認めることは、相手の困りごとに思いをはせること、わからなくても寄り沿おうとすることにつながっていく。
作品のなかではほぼ好意的に描かれることのない梅田や田西も、きっといろいろなことを抱えてるんだろうな、と思えるようになるところまでが、セットなのかもしれないです。

 

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ラストレター

新年一発目です。(おそい)

去年から第二次岩井俊二ブームがきている私は、絶対観ようと決めていた「ラストレター」を観てきました!
まさかないとはおもっていたけど、ピクニックやリリィシュシュのようなブラック俊二じゃなくて、正真正銘のホワイト俊二だったのでほっとしました。とてもとても良い映画だった。

森七菜ちゃん、彼女は何なんですか! 初めて見たけど素晴らしすぎる。派手ではないのに、ただそこにいるだけで、圧倒的なドラマが伝わってくるなんともいえない存在感ですね。
乙坂先輩に問い詰められるシーンで、左足の甲がきゅっと上がる仕草があって、それが演技を超えていて、この何気ない仕草がずっと忘れられません。広瀬すずとは違う個性で輝いていて、ほんとに凄かった。
その広瀬すずも、私がいままで見たなかで一番良い広瀬すずでした。去年毎朝見ていた彼女とは別人かとおもうほど何倍もよかったです。岩井さんが撮るとこんなふうに活きるんだなあというのを見せてもらえました。

「ラブレター」を彷彿とさせる設定の数々、そして「ラブレター」のふたりが登場するのもやっぱりうれしい。「四月物語」では初々しい大学生だった松たか子のお母さん演技も感慨深かったです。

ストーリーは、深く考えようとするとツッコミどころがぽろぽろ出てはくるけど、岩井俊二だから。という感じで流せますね。ファンタジーだから。ミュージカルだから。みたいなノリで、岩井俊二だから。という感じ。岩井俊二というジャンルがあるとおもう。確実に。

この時代に、手紙を使ったドラマを成立させてしまったところがなんか面白い。「ラブレター」から25年も経って、同じような映画ができたことが奇跡みたい。初恋の相手をモチーフにした作品を書き続ける乙坂鏡史郎が、それでも第一作を超えられずにいたように、岩井さんは「ラブレター」を更新したいのにできないでいたのかも。乙坂がもう一度小説と向き合えそうと言うのは、岩井さんのお祈りなのかもしれないなとおもった。
「ラブレター」大好きな私のような人の心をくすぐりつつ、でもきちんと新しい時代の作品になっていました。
「リップヴァンウィンクルの花嫁」がどうしたどうしたって感じだったので、私のすきだった岩井俊二さん再来、という感じでとてもうれしく、本当にいい映画観たなー!という気持ちで映画館出てくることができました。

良すぎて原作本も買ってしまった。設定が少し違っているみたいだったのでこちらも楽しみです!

 

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シュール可愛い世界

すごく良い本買いました!

おもちゃ絵とは、江戸〜明治期に流行した、主に子ども向けの浮世絵です。「○○尽くし」みたいな、図鑑を兼ねたような一枚絵だったり、この本の表紙の「ねこ」みたいに、動物で書かれた文字だったり、上下をひっくり返しても顔になるような「だまし絵」だったり。なかには、切り抜いて着せ替えができたり、お雛飾りが作れたり、ミニチュアの建物が作れたりする、ペーパークラフトのようなものも。また、江戸から明治へと時代が移り変わるなかで、当時の風俗が描かれているのも興味深いポイント。
浮世絵らしい渋さと昔の人の遊び心が相まって、実に良い味わいなのです。

瀬田貞二さんの本で明治時代のおもちゃ絵のことを知って以来、私のミニチュア好き魂が刺激されてずっと気になっていたのでした。
そんな心ときめくおもちゃ絵、実はねこものがかなり充実しています。pinterestで、夜な夜なねこのおもちゃ絵を集めてはにやにやしていたのですが、一冊にまとまっていると知り、思わずポチリ☆この本に収められているのはねこ!ねこオンリー!最高かあ。

 

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この他にも、人力車に乗るおばさま猫、校庭で縄跳びする子ども猫、家事にいそしむ猫、蕎麦やうなぎに舌鼓をうつ猫...。のきなみ猫背でぎこちない姿勢なのがまたたまりません。

猫ラブな絵師・歌川国芳が、天保年間に、歌舞伎役者の似顔絵をねこにして表現したことから、浮世絵界にねこブームが巻き起こったとのこと。尊い。江戸の人たちが猫好きというのは聞いたことがあったけどここまでとは。
それに、こういうのを見ると、昔から日本人は漫画とかゆるキャラが好きな種族なんだなあと思いますね...。
この本には収録されていないけど、世の中には着物を着たほおずきのおもちゃ絵というものも存在しており、それも最高にシュール可愛いのです。

 

少し前に『かわいい浮世絵』という本もポチってしまってまして、これもお気に入りです。金魚とかたことかきつねとかやっぱり動物ものがめっちゃ可愛い。

 

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国語辞典は道しるべ

私も飯間さんと同じように、子どもの頃は、日本語のことはなんでも知ってるえらい先生が国語辞典を作っているとおもっていた(しかも私は口述筆記をイメージしていた)。でも「舟を編む」を観たら、ふつうの人々がふつうの生活のなかでコツコツと執筆を重ねていく姿が描かれていて、考えてみれば当たり前なんですけど。


この本は、その「舟を編む」(※アニメ版)の監修にも携わった飯間浩明さんが、辞書を作る仕事について、子どもたちに向けて書いた本。

飯間さんは、町を歩いているときも、テレビを見たり漫画を読んでいるときも、つねに変わった日本語がないかと探して、ことばを集めて書き留めていく。だから「ことばハンター」。

 

辞書作りが、ふつうの人のふつうの仕事であるとは言っても、やはり、言葉への興味・関心、そして繊細な感受性があってこその仕事なんだなということがわかります。いわれてみれば漠然とした「水の事故」とか、スパゲティの略語としての「スパ」とか、私なら当たり前すぎてスルーしてしまいそう。でも、この「当たり前」である言葉こそが生きた言葉であり、それこそが、国語辞典が収録しなければならない現代の日本語なのですね。

個性的な国語辞典といえば『新明解』が有名だけど、それぞれの辞書によって特色があるというのも面白かった。飯間さんの『三省堂国語辞典』は簡素な説明を心がけているそうです。それで、この、「簡素」でありながら、その言葉の意味を余すところなく表現できる説明を書かなければならない、その難しさも書かれていて、辞書作りの苦労がわかりやすく伝わってきます。

子どもたちにもぜひ読んでほしいけど、大人が読んでもとても興味深く、そして、おだやかな文章から伝わってくる、飯間さんの静かな情熱が感動的。派手さはないけど、とても尊いお仕事です。言葉に対するアンテナを敏感に張り巡らせて、正確な言葉をつかみ取っていけるようになりたいな、と思わせてくれる一冊でした。

 

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心に音を

こんなすんばらしい本が1年も前に出ていたなんて、全然気がついていなくて不覚でした。

「リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ」とは、マレーシア語で「五・七・五・七・七」のこと。なぜここでマレーシアが出てくるのかというと、主人公の沙弥がマレーシアからの帰国子女だからです。2年半ぶりに日本に戻ってきて、中学に編入することになり、周りから浮いてはいけないとビクビクしながら学校生活を始めたばかりの沙弥に、変わり者として有名な先輩が「ギンコウ」へのお誘いをかけてくることから始まる自分探しの物語。


沙弥と佐藤先輩の詠む短歌を中心に、家族の中や学校でおこるちょっとした事件を通じて、沙弥が「自分を表現すること」「自分と相手のありのままを認め合うこと」をつかみとっていく姿が、とにかくさわやかで清々しい。

 

多種多様な価値観をもった、様々な人種の人たちが共存し合っていたマレーシアの大らかさを、懐かしく思い出す沙弥。沙弥の短歌には必ずマレーシア語がひとつ織り込まれるのですが、このマレーシア語が、「日本語として」めっちゃ面白いのです。
例をあげたいところだけど、この作品のなかでは短歌がとても重要なポイントになっていて、もともと31音しかないものをここで引用してしまうのはもったいなくて心苦しいので、ぜひ読んで欲しい。
どの言葉も、日本語のオノマトペとして存在していそうな響きだったり、ずばり日本語とダブルミーニングになっていたりと、マレーシア語、短歌てきにかなり相性がいい言葉だとかんじました。

しかも!
佐藤先輩が短歌を始めたきっかけが、図書室の先生にすすめられた東直子さんの歌ーーー!

一度だけ「好き」と思った一度だけ「死ね」と思った 非常階段

             ――東直子『春原さんのリコーダー』より

あることで挫折して、普通の中学に編入してきた佐藤先輩に、この歌集を渡した学校司書。渡すほうも最高だし、渡されるほうも幸せで最高ですね!
東さんのこの歌とこんなところで再会するなんて!と不意打ちされたような驚きとともに、あ〜こんな仕事ができたら司書冥利につきる...とおもったり、読みながら心の中がとても忙しくなりました(笑)。


短歌、自分でも少しかじっていたことがあるので(東さんと同じ団体にいたことがあるのです)、感想言い合うときの言い方とかも身近に感じたし、ふたりが詠む歌がどんな感じで批評されそうかというのもなんとなくわかります。きっとかなりいい線いくとおもうんです。

そう、この、作品のなかに出てくる歌も、歌単体としてとてもうまいのです。
物語を書いて、そのなかに登場させる歌を作って、しかもその歌はアクセント程度のものではなく、その歌自体がさらに物語を引っ張っていく、というものすごいことがとても器用に行われていることに、本当にびっくりしてしまいました、私は。

中学生はとにかく世界が狭いから、学校と家だけが世界のすべてのような気がしてしまうんだよね...。ほかにも世界は広がっているんだって知ることって、とくに中学生にとってはとても大切な視点で、それに救われることもたくさんあると思う。沙弥と佐藤先輩にとってはそれが短歌で、そんなものに出会えたふたりは、本当によかったねっておもうのでした。

でも、短歌に出合えた。楽器がなくても、ちゃんと心に音を鳴らしてくれる歌があるんだって知った。音楽じゃない、でもわたしはわたしの歌をつくろうと思った。

最後は、ふたりの関係が深まっていく予感、ふたりの人間関係がもっと広く広がっていきそうな予感まで含めて描かれていて、それもすっごくよかった!

 

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