くるわ。また。何度でも。

江國 香織,岩瀬 成子,くどう なおこ,井上 荒野,角田 光代,町田 康,今江 祥智,唯野 未歩子,山田 詠美,綿矢 りさ,川上 弘美,広瀬 弦,谷川 俊太郎
講談社

図書館ですてきな本見つけました。
私にとってもムスメにとっても、当たり前のようにいつもそばにある佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』。この本は、ねこの100万回の生のなかに、あったかもしれない100万分の1のねこ生を描いたオムニバス。

それにしたって、
江國香織・角田光代・町田康・山田詠美・綿矢りさ・川上弘美...?! この名前の並びの豪華さはなに。手に取らないわけにはいかないです!
くどうなおこも谷川俊太郎も子どもの頃から親しんでいるし、上に挙げた人たちの作品は、どれもいままでいろんな場面で私と共にあって、私の結構な部分を作っているとおもわれます。広瀬弦さんは佐野洋子さんのご子息ですね。

 

町田康の「百万円もらった男」だけねこが出てこなくて「おや」とおもうんだけど、やっぱりこれ、あの「ねこ」っぽかったりもするし、全然関係ないことが書いてあるのに、ちゃんと『100万回生きたねこ』のパロディになっていて、とても楽しく読みました。ひっさびさに読んだ江國香織も、ああこれこれ江國香織だなぁぁ、とおもったし、中学生以来だった山田詠美も、どことなくバブル時代の香り漂う懐かしい文体で(←褒め言葉です)、岡村ちゃんにハマってる私はなんかうれしくてにやにやしてしまった。
でもわたし的ナンバーワンは角田光代の「おかあさんのところにやってきた猫」です。思いがけず号泣。

 おかあさん、わたし、いい子でもないし、かわいくもない、やさしくもないんだよ。どんなに言っても、おかあさんはわたしの話を聞こうとしないから、だんだん、腹がたってくる。いい子でもない、やさしくもない私を認めろ! 自分の願いを押しつけるな! 本当のわたしをちゃんと見ろ!
 思い知らせてあげようと、おかあさんが出かけたある日、わたしは家じゅうを走りまわる。
 やさしくなんかしない、えらいことなんかしない、いい子なんかじゃない、おちびなんかじゃない。おかあさんに思いこまされたわたしではなくて、ちゃんとわたし自身でわたしは生きていく。

外の世界を知ってしまった子ねこが、自由を求めて飼い主の元から逃げ出すお話なんですが。
どう考えても、これ、人間の子どもの自立の話ですね。自分でも単純だなあとおもうけど、いまそのまっただ中にいる身としてはぐさぐさと刺さるのでした。
このあたりからすでに涙腺があやうくなってきてたんですが、最後の何行かがほんとにもう...。
角田光代さんほんと、何書かせてもすごすぎる。

ところで昨日の朝も、子どもたちが学校に行く時に、玄関のドアからうちの猫が脱走しまして。世間知らずな箱入り猫なので、外に出てしまうとこっちは気が気じゃなくて、その度に、「このまま見失ってしまったら」という恐怖にふるえながら追いかけっこして捕まえて、の繰り返しなんですが、とにかく、ちょっぴり外の世界に憧れているらしきうちの猫。ムスメのことをおもうと同時に、もしかしたらうちの猫もこんなこと考えたりしているのかなぁなんてこともおもいながら、読みました。

どんなに気持ちが通じ合ったとおもっても、仲良くしてても、猫には猫の論理があって、どうしたって異世界の生き物なんだなぁとおもう場面は、いっしょに暮らすとたびたびある。意味わかんない行動とかいきなりするし。
「おかあさんのところにやってきた猫」は、そんな、猫と人間のわかりあえなさが描かれていてとても切なくて、でも、それが最後は魂同士のお話に収束しているところが、ほんとうに見事だとおもう。
 

そして、こんなに素敵な短編をいくつも生み出す『100万回生きたねこ』は、やっぱり特別な力をもった絵本なんですね。

うちの本棚にある『100万回生きたねこ』は、結婚のお祝いに、小学校のときの担任の先生が送ってくださったものです。

 

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