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チワンのにしき

チワン族はベトナムとの国境付近に多く住んでいる中国の原住民族。チワンの女性たちが織る錦は、中国四大名錦のうちのひとつと言われているそうです。『チワンのにしき』は、君島久子さんが、現地でおはなしを読んだときからどうしても絵本にしたかったのだそう。これぞ赤羽末吉だなあ...とひと目でわかる表紙ですね。
とりつかれたように錦を織りつづけるおばばの執念もさることながら、天女が出てきたり、昔話によくある三人兄弟の要素もあったり、布を取り返しに行く道中、冒険の要素もあったりと、多彩な面白さのある骨太なおはなし。

さくら・さくらんぼ保育で有名な斎藤公子さんは、この主人公のおばばに、保育園作りに心血を注いだ自分を重ねていたそうで、同じ話を斎藤先生が製作した絵本もあります。(現在は絶版)

斎藤博之氏による中の絵も、中国の風俗が出ていてなかなか良いです。でもなぜこの表紙にしたのか...。

ちなみに、『チワンのにしき』と同じ君島さんが、絵本が出るよりも前に訳していたのがこちら

文章の流れ等を見ると、絵本版『チワンのにしき』よりも『錦のなかの仙女』とほぼ同一なので、こちらのほうが原本に忠実なのだと思います。少し説明的な部分が多いかも。
そうした説明を排し、赤羽さんの絵を加えて「絵本」という形式で成立させているのが絵本版『チワンのにしき』なようです。

君島・赤羽コンビの絵本は傑作がいくつもあるけれど、『あかりの花』は、チワン族のお隣の地域に住むミャオ族の刺繍を扱った昔話。

よくできた美しい奥さんをもらったことで、彼女の手仕事(このおはなしでは刺繍)に頼り、しだいに働かなくなる男。
日本でいうと「つるにょうぼう」に似たところがありますね。でも「つるにょうぼう」と違って、男が改心して奥さんが戻ってくるという結末は、ハッピーエンドで心があったかくなります。(昔話研究家の小澤俊夫さんによれば、「つるにょうぼう」型の結末は、日本以外ではあまり見られないのだとか。)

最後にもうひとつ。

こちらは日本の作家による創作だけど、やはり中国が舞台です。
戦争で愛する人を失ったまーふぁが、昼も夜も織り続ける世にも美しい布。最後はその布が天まで届き...。七夕伝説とも少し重なるかな。

織り物(や刺繍)には、作る人のつよい思いが否応なくこもってしまうのだとおもう。生活のなかで、長年こうした手仕事をしてきた人たちにはその感覚がきっと実感としてあって、だからこそ、このようなおはなしが生まれ、伝えられてきているのかな、なんて思ったのでした。

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