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きみの存在を意識する

舞台は中学二年のクラス。
文字を読むのが苦手なひすい。戸籍上は女の子だけど、自分は男でも女でもないと感じている理幹(りき)。書字障害の心桜(こはる)。複雑な生い立ちをもつひすいの「弟」拓真。カーストのてっぺんにいる優等生の小晴と、教室に入れなくなってしまった幼なじみの留美名。どの章の主人公も、それぞれ「ふつう」からはみ出た生き辛さを抱えてる。

どの子も一生懸命で愛しいのですが、特に心桜が印象的。超絶美少女なのに字がうまく書けないせいで、「顔のかわいさだけで人生なんとかなると思ってるバカ」と認定されているけれど、この本に出てくる子のなかでも一二を争う行動力のもちぬしで、外から見える何倍もいろいろなことを考えて、生き抜く術を模索する力強さには感動さえおぼえます。
自分の抱える生き辛さが何なのかという疑問から、それが障害であることを突き止め、その解決のために周りの大人に働きかけて環境を変えていく。自分の問題にとことん向き合う強さをもったすごい子です。そんな心桜に、「顔が超絶かわいい」という設定をもってきた作者には本当に恐れ入ってしまう...。
最後に梅田にのこすメッセージ。これもよくて、これ以上ないほどのむきだしの言葉で、ストレートに読む人の心をうちます。心桜の書いた文字まで目の前に浮かんでくるようです。

それから、穏やかでやさしくていい子だけど、やっぱりそんなふうにはいられるわけがない複雑な内面をもった拓真の手紙。でも、人生においてもしかしたらいちばん大切かもしれないことに気づかせてくれる、良い手紙です。
ひすいの抱える困りごとは、心桜のそれと少し近いのだけど、心桜とは違う道を選ぶ。それもまた自分なりの道。

彼らが、弱さを抱えているがゆえの優しさを持ち寄りあって、ゆるゆるとつながっている感じが良かった。抱えていることはみんなそれぞれに違い、完全にわかり合うことなんてできないんだけれど、自分の弱さを認めることは、相手の困りごとに思いをはせること、わからなくても寄り沿おうとすることにつながっていく。
作品のなかではほぼ好意的に描かれることのない梅田や田西も、きっといろいろなことを抱えてるんだろうな、と思えるようになるところまでが、セットなのかもしれないです。

 

JUGEMテーマ:児童文学

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